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クロスボウランチャー

工業力に基づく戦争は、すべての参戦国に想定外かつ膨大な負担をもたらした。いずれの国も1914年の西部戦線でもたらされた塹壕戦の膠着化により、武器の不足に悩まされることになったのである。敵塹壕線がすぐ目の前にある状況が、大戦初期にはなかった大量のグレネード用投射兵器の需要を呼び覚ました。これにより戦場では特異な光景が頻繁に見られることになった。骨董品じみた臼砲から、導火線付きの「手投げ爆弾」までが蘇り、さらにお手製のカタパルトやハンドグレネードも使われたのである。


現代的な塹壕迫撃砲の導入が進むまでの間に、さまざまな投射用兵器が登場することになったが、その中の一つに、これもまた旧来の武器の復活であるクロスボウがある。しかし、大戦で使われたクロスボウは矢を放つのではなく、グレネードを敵塹壕に投擲するための物であった。「Arbalète Sauterelle type A」(Sauterelle:ソートレルはフランス語でバッタを意味する)は基本的に大型のクロスボウで重さは24kgあり、フランスまたはイギリスの標準的ハンドグレネードを最大140m飛ばすことができた。1915年初頭にフランス軍の砲撃士官により開発された兵器で、塹壕の壁や斜面に立てかけて使い、1~2名でグレネードをカップに入れて放つことができた。一見、粗野で時代遅れの兵器であったが、その働きは良く、ストークスなどの小型迫撃砲が各種投射器に置き換わるまでの間、連合国軍の兵士たちの間で好まれた。


これらの大型の固定使用クロスボウのほかに、骨董の個人用クロスボウそのものも戦闘に使用されている。大戦前、クロスボウ射撃は欧州で人気のスポーツであり、1914年の時点で既に北フランスとピカルディ地方の「クロスボウ愛好会」が、最新のスポーツ用クロスボウと骨董品の両方をドイツ軍にグレネードを発射するのに使用している。通常のクロスボウでグレネードを発射するには矢のような形が必要であり、射手はダイナマイト状の爆薬を金具などで柄に固定したありあわせの矢を用意した。この爆弾矢は80mほど飛んだ。初期のライフルグレネードには砲身に挿すための長い鋼のロッドが取り付けられていたが、これらもクロスボウで矢として使用された。


変化の激しい第一次世界大戦の戦場の常として、多くの武器が塹壕に近い武器工房で当座しのぎに生み出され、すべての陣営でグレネード投擲用として15世紀のクロスボウの粗野なコピーが造られた。一部の塹壕強襲兵や突撃兵は、強襲時に音を立てずにグレネードを投擲するために大戦を通してクロスボウを用い続けた。



第一次世界大戦が終わるとクロスボウの価格は高騰し、かつては人気スポーツだったクロスボウ射撃は姿を消すことになった。

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