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見ての通り騎兵用の槍である。 長くて重い槍を揺れる馬上で振り回し、正確に敵に突き刺し更にその衝撃に耐えなければならないことから、騎兵銃やサーベル等と比べても使いこなすにはかなりの熟練を要する。
紀元前から槍は騎兵の伝統的な武器だったが、様々な事情によりヨーロッパでは17世紀までには殆ど使われなくなっていった。 しかし18世紀以降に騎兵突撃が見直されるようになると、各国でエリート騎兵として槍|騎兵が復活し華々しい活躍を見せた。 自動火器を持たない時代の歩兵にとって高速で駆け回り、銃剣のリーチの外から一方的に突いてきて暴れまわる槍|騎兵は非常に恐ろしい存在だった。
In the Name of the Tsarの主役、帝政ロシアはこのような槍|騎兵を最も大規模に運用した国である。 帝政ロシアの槍|騎兵の主力はコサック兵で、彼らは幼児の頃から馬に乗り、10代になれば軍に入隊し訓練を受けるまさに生まれながらの騎兵であり、 馬術・武術共に巧みでナポレオン戦争以前から神出鬼没の恐ろしい襲撃者として侵略者の前に立ち塞がった。
第一次世界大戦の頃には流石にナポレオンの時代のように重装備の敵に正面から突撃して敵を蹴散らすなんてことはほぼなくなったが、 敵戦線後方奥深くに浸透して補給線や司令部などを襲撃する際や、装備や士気が劣悪な敵部隊を攻撃する際には度々ランスチャージが敢行され大きな戦果を挙げた。
第二次世界大戦までには維持費が嵩む騎兵は各国で急速に縮小され、生き残った騎兵も戦闘時には馬から降りて戦う乗馬した歩兵として戦うことが主となった。 殆どの国では騎兵の戦闘装備から槍は外されていったが、騎兵の国ポーランドでは1939年まで実戦部隊として槍|騎兵を維持していた。*1 ナチスドイツのポーランド侵攻ではポーランド騎兵は勇敢に戦い、一般的なイメージと異なり初日のクロヤンティの戦いを筆頭に何度か行われた騎兵突撃の大部分は成功を治めた。 これが紀元前から存在した槍|騎兵が実戦で戦いランスチャージを成功させた地上最後の例である。
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