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コーデックス/1914年8月の世界
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1914年8月の世界:第一次世界大戦の開戦時の世界

第一次世界大戦前のヨーロッパは平和で平穏だったと語られることが多いものの、開戦までの数十年間には、バルカン戦争と日露戦争があり、テロや暗殺がたびたび起き、どの帝国でも市民の権利の拡大や自治権を求める声が高まっていた。


そのためオーストリアのフランツ・フェルディナント大公が暗殺されたとき、その影響ははじめわずかなものであった。イギリスとフランスでは、ヨーロッパの反対側のいかにも事件が起きてもおかしくない地域での、よくある政治的暗殺のひとつと受け止められていた。開戦の理由とは程遠い出来事であった。だが大戦に参加したすべての国に戦争を戦う別の理由があり、結果として、この暗殺が都合のよすぎる口実となって、一連のドミノ倒しへと繋がってしまった。


オーストリア=ハンガリーは地中海での覇権を欲し、ロシアはバルカン地方での影響力を欲し、ドイツはロシア経済の成長を恐れ、そしてもちろんより強大な世界帝国となることを望んだ。フランスはプロイセン王国に奪われた土地を取り戻したく、イギリスは、その世界帝国としての覇権を維持しつつ、特に海軍力と植民地におけるドイツの勢力拡大を阻止したいと考えていた。


さらに戦争を自身の支配への抗議や高まる民族運動を弾圧する機会と考えた指導者もいる。そして戦争は政治だけの問題ではなかった。戦争は大きなビジネスであった。軍は補給を必要とし、そこに武器や弾薬、装備の需要が生まれ、それを満たす者には巨万の富を手にする機会が与えられた。第一次世界大戦が数万人の億万長者を生み出したことは秘密でもなんでもなく、1914年に数多くの事業家が政府に開戦を促したことも、また秘密ではない。

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